法務局での遺言書の保管サービスが、来年(2020年)7月1日から始まります。
遺言書は、大まかにいうと、自分で作成する自筆証書遺言と公証人役場で作成してもらう公正証書遺言の二種類がありますが、法務局で保管してもらえるのは、自筆証書遺言の方です。
公正証書遺言と比べて、従来、自筆証書遺言は次のデメリットがあるとして、プロの間では敬遠されてきました。
①内容が不明瞭又は無効で、遺言を実現できない場合が少なくない
②遺言書が改ざんされたり、紛失したりする危険がある
③遺言者死亡後に家庭裁判所の検認手続をしなければならない
④遺言書作成時の遺言者の判断能力が問題となりやすい
しかし、この保管サービスを利用すれば②と③のデメリットはなくなります。
また、申請の際に、法務局の人が、遺言書が法律に沿っているかを外形的に確認する運用がなされるとされてますので、一見してわかる不備については、法務局の人が指摘してくれるものと思われます。なので、①のデメリットについてもある程度緩和されることが期待できます。
加えて、公正証書を作る公証人役場は、法務局より数が少なく、例えば私の住んでいる地方だと、公証人役場は50km以上も離れています。
さらに、手数料についても、まだ発表されてませんが、法務局の方がかなり安くなるはずです。
このように、法務局保管サービスは、従来の自筆証書遺言のデメリットをかなり軽減しうる制度です。
サービス開始は2020年7月1日です。
(文責 和久井善之)