相続手続を進めていると、遺産分割協議で不動産をどの相続人の名義にするかが決まらないというケースが、少なからずあります。
相続人間で揉めていて決まらないというケースもありますが、最近は誰も欲しくないので決まらないというケースが増えてきました。
不動産をどの相続人の名義にするか決まらない場合、司法書士事務所や法務局で
「とりあえず法定相続分で相続人全員の共有登記ができますよ」
と勧められることがあります。
法定相続分による相続人全員の共有登記というのは、例えば、鈴木太郎が亡くなって、妻花子と、長男一郎、次男二郎、長女明美が相続人の場合だと
共有者
持分6分の3 鈴木花子
持分6分の1 鈴木一郎
持分6分の1 鈴木二郎
持分6分の1 鈴木明美
という登記のことです。
でも、この法定相続分で相続人全員の共有登記っていうのがクセモノなんですよねー。
この登記をするメリットは
①法務局は登録免許税を徴収できる
②司法書士は登記の報酬がもらえる
③相続人の氏名・住所が公開されるので、不動産に利害関係のある第三者は相続人調査を省ける
といったところです 。
あれ?相続人にメリットないんじゃないの?
そうなんです。登記費用を実際に負担する相続人のメリットって、あまり見つけられないんですよ。
少なくとも私は、10年以上司法書士やってますが、この相続人全員の共有登記を勧めたことは一度もありません。
でも
固定資産税の納付は大丈夫なの?
登記しないと何かペナルティーを受けるんじゃないの?
と心配になった方がいらっしゃったかもしれませんが
固定資産税は登記しなくても相続人が納付できますし、現時点で(2019年11月現在)、ペナルティーはありません。
(将来的に相続登記を義務化しようという議論はあります)
加えて、法定相続分で共有登記をすると、不動産の名義が一人に決まったときに、再度登記が必要となり
二重に登記費用がかかる
というデメリットがあります。
つまり、決まるまで登記をしないでおくという選択肢もあるということです。
これは、司法書士事務所や法務局では、あまり教えてくれないようなんですよねー。
(でも、実務をしていると、この相続人全員の共有登記ってたまに見るんですよね。かえってその後の一人の名義にする手続がめんどうになるんで、困るんですけども、、、)
というわけで、法定相続分による共有登記には、現状を公示するという公益的利益はもちろんありますが、実際にお金を負担する相続人には、上記のようなデメリットがありますので、法務局や司法書士から勧められたとしても鵜呑みにせずに、メリット・デメリットをご自身でよく吟味して、するかどうかを決めた方がよろしいかと思います。
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(文責 和久井善之)